数カ月間の目まぐるしく楽しかった住まいづくりの旅が終わると、新たな家族での暮らしという旅が始まります。誂えを尽くした住まいという器の中にご家族でどんな料理や味付けをしていくのか、ご家族の歴史を物語るその旅の続きと日常の中の晴れと褻の愉しみ方を豊かな季節の移ろいと共にご紹介していきます。
早起きの奥様は、毎朝ロールスクリーンを上げ家の中に光と風を入れヨガをするのが日課。その横ではご主人が夜に仕込んでおいたホームベーカリーの芳しい香りが漂い始めます。ゆっくり丁寧にドリップしたコーヒーと焼きたてパンの朝食。この上ない贅沢でゆったりとした休日の日がこうして始まります。いつもの朝もこのキッチンに家族が集うところからスタートです。
朝食が終わると子供たちは待ちきれないとばかりに外へ飛び出します。取材に伺ったこの日もご主人と長男君は近くの用水路でザリガニ採りをしていました。お休みの日はご主人が釣り好きということもあって、お出掛けも海や沿岸部、蔵王などの自然を満喫。木板を全面に施した外壁は周囲の自然いっぱいの風景にも違和感なく溶け込んでいます。敷地を囲む木フェンスや外構工事はご主人が一年がかりで手作りしたものウッドデッキのペンキ塗りもご自身でされたそうでいまはガレージを考案中。F様邸はまだまだ完成途中!?のようです。
目いっぱい外遊びをした子供たち。休日の今日はおやつも家族揃って「いただきます!」パーケットフロアが印象的なLDKの床は時々オレンジオイルで磨きをかけお手入れされているそう。その優しい色合いと質感がゆったりとしたリビングでの家族時間を演出し、時を経る程に木の味わいが深まり愛着も増していきます。住みながら丁寧に家を育てていく暮らしを愉しんでいらっしゃいました。
ミッドセンチュリー系などのアンティークな家具がお好きなF様。玄関に置かれた椅子やテーブルは奥様のお父様から譲り受けたもの。リビングの一角にあるアンティークなチェストの上にはお子様の好きな恐竜のフィギュアや古いレコードが飾られていたり、新しいものと古いものも違和感なく馴染んでいました。仙台のアンティーク家具ショップ「ローズボール」さんもお気に入りのお店。
日々の忙しい時間の中でも休日はお子さんや家族との時間をとても大切にされていると感じました。お友達も一緒にBBQをしたりF様邸に集うこともしばしばだそう。
奥様がお仕事から帰宅する頃、キッチン西側のテラス窓からお出迎えしてくれるかのように見える夕景がとても好きだそう。ちょうどこの季節は水を張った田んぼに夕陽や夕焼けが映り込み、キラキラと輝き幻想的な情景を醸し出す。二階のヌックの大きな窓越しで息子さんも夕陽を見つめる。自然の圧倒的な美しさと壮大さに言葉を失いただただ五感でそれを「感じる」。日々の当たり前が心を豊かにしてくれる。この風景に癒されながら今日も夕飯の支度に取り掛かる贅沢。